君の気持ちを知っているのに、

 

side:攻

 

部屋に入って、電気が消えていることに小さな寂しさを感じたものの、やはり安堵を感じずにはいられない。

ベッドにそっと入り、恋人に抱きつくと身体がピクリと動いたことに気づく。

暗くてしっかり見えないが、恋人が今まで起きてたことが分かった。

きっと紅潮しているだろう恋人の顔も安易に想像できた。

「・・・・ワルイ子」

ボソッと言うとピクリと再び身体が揺れた。

「・・・・・ま、待ってたから・・・イイ子じゃん」

拗ねたような小さな声が返ってきた。

きっと寝れなかったのだろう。

少なからず、心の中では待っていた恋人に対して嬉しく思う。

「ふふ、知ってるよ」

顔に両手を添えて、おでこであろう場所に軽いキスを贈った。